ピロリ菌のイメージ写真

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、胃の中に生息する4μm([4/1000]mm)ほどの病原微生物です。
胃内は酸性が強く細菌が生息しにくい環境ですが、幼少期に感染者である母親の食物の口移しなどによって胃内に侵入します。胃内に存在する尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解し、そのアンモニアで胃酸を中和することで自らを胃酸から守り、生存し続けます。

ピロリ菌は、慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がん、特発性血小板減少症などの原因です。

ピロリ菌検査について

ピロリ菌の検査方法には胃内視鏡を用いる検査と胃内視鏡を使用しない検査があります。
それぞれの検査方法につきましては以下の通りです。

胃内視鏡によるピロリ菌検査

胃内視鏡で胃粘膜の組織を一部採取し、感染の有無を調べていきます。
主に3つの方法があります。

培養法
採取した組織を用いてピロリ菌を培養します。
迅速ウレアーゼ試験
採取した組織を用いて、ピロリ菌がもつとされる酵素(ウレアーゼ)のはたらきで作り出されるアンモニアの有無を調べることで、感染の有無を判定します。
組織鏡検法
採取した組織を顕微鏡で観察することで、ピロリ菌の有無を判定します。

胃内視鏡を使用しないピロリ菌検査

胃内視鏡を使わないピロリ菌検査は、以下の3つの方法があります。

尿素呼気試験法
薬剤を服用していただく前後の呼気を採取し、ピロリ菌感染の有無を判定します。
抗体測定法
尿や血液の中から、ピロリ菌に対する抗体の有無を調べる検査です。
抗原測定法
糞便からピロリ菌抗原の有無を調べることで判定します。

除菌治療について

上記の検査を行い、ピロリ菌の感染が確認された場合、除菌治療をお勧めします。
胃酸を抑える薬(P-CAB、PPIなど)と抗菌薬のアモキシリンとクラリスロマイシンの計3種類の薬を朝と夕の1日2回、1週間内服する薬物療法です(一次除菌)。1週間の服用を終えた後、1ヵ月が経過してから除菌判定の検査を行います。
その結果、除菌されていない場合、薬の種類を変更して再び1週間の内服治療を行います(二次除菌)。除菌率に関しては、一次除菌で約80-90%、二次除菌で約90%と言われています。
なお服用期間中は、下痢、発疹、肝機能障害、出血性大腸炎などの副作用がみられることがあります。