大腸ポリープとは

大腸ポリープとは、大腸粘膜の一部が隆起した病変で、組織タイプの違いから大きく「腫瘍性」と「非腫瘍性」に分けられます。
腫瘍性ポリープは腺腫と呼ばれ、小さなうちはほとんどが良性ですが大きくなるとともにがんが発生する割合が大きくなります。
腺腫の中に小さながんが生じることがあり、これを腺腫内がんと呼びます。
このように腺腫の一部は放っておくとがんになることがあり、そのため前がん病変とも言われます。
腺腫は環境要因と遺伝要因が影響し合って起こると考えられており、環境要因としては、喫煙などが重要です。
Omata F,Brown WR,Tokuda Y,Takahashi O,Fukui T,Mine T.Modifiable risk factors for colorectal neoplasms and hyperplastic polyp.Internal Medicine. 2009;48:123-8.
ポリープがあっても症状が出ることはほとんどありませんが、大きなものでは血便の原因となったり無症状でも便潜血検査が陽性になることがあります。
Omata F,Shintani A,Isozaki M,Masuda K,Fujita Y,Fukui T.Diagnostic performance of quantitative fecal immunochemical test and multivariate prediction model for colorectal neoplasms in asymptomatic individuals.Eur J Gastroenterol Hepatol. 2011;23:1036-41
診断にあたっては主に大腸内視鏡検査が行われ、ポリープの有無を確認し、見つかった場合はその大きさ・形状・色調などを観察します。
ポリープの治療としては、内視鏡的に切除するか、必要に応じて腹腔鏡あるいは、回復手術を行うべく、ご希望の病院を紹介させていただきます。
Omata F,Ohde S,Deshpande GA,Kobayashi D,Masuda K,Fukui T.Image-enhanced,chromo,and cap-assisted colonoscopy for improving adenoma/neoplasia detection rate:A systematic review and meta-analysis.Scand J of Gastroenterol. 2014;49:222-37.
日帰りポリープ手術(内視鏡的ポリープ切除術)とは
当院では、検査中に大腸内でポリープが発見した場合、内視鏡での切除が可能と医師が判断すればポリープの切除を行います。
小さなポリープの場合、その大半は開腹をしなくとも切除することが可能です。
内視鏡によるポリープ切除では、ワイヤー(高周波スネア)を投げ縄のようにしてポリープの根元に引っかけるようにして焼き切る方法(Hot snare polypectomy)とワイヤーを閉めて根元を壊死させることで自然にポリープを切除する方法(Cold snare polypectomy)の2つがあります。
また小さなポリープの場合、大きめの生検鉗子によってつまんで切除するといった方法もあります。
ポリープ切除は開腹をしないのが利点でもあるわけですが、それでも手術に相当する内容です。
したがってポリープ切除後は生活上の制限(食事、運動、入浴、アルコールなど)がいくつかありますので、医師の指示に従うようにしてください。
また切除後に腹痛、吐き気、発熱、黒色便、肛門からの出血などが見られたという場合は、至急当院までご連絡ください。
これらの合併症は治療後10日間は起こる可能性があります。
大腸ポリープに関しては、再発する傾向がありますので、定期的な大腸内視鏡検査が必要な場合もあります。
経過観察の期間などに関しては、担当医と相談してお決めになることをおすすめします。
Omata F,Deshpande GA,Suzuki H,Hayashi K,Ishii N,Matoba K,Ohmuro A,Rai F,Takashima M,Fukuda K,Masuda K,Kumakura Y.Cumulative incidence of metachronous advanced colorectal neoplasia after colonoscopy:a cohort study.Eur J Gastroenterol Hepatol. 2021;33:1341-1347.